Winny のようなソフトウェアを作成すれば逮捕されます
と、煽りタイトルで行きましょう。ただし、「Winny のような」とは、「悪用が容易に想像できるのにそれを抑止する何らかの対応を考えなかった」ということです。P2P だからというわけではありません。普及したかしなかったかは実際の被害に直結するので、作者にそれが予測できるかはともかくとして、影響してしまいます。SoftEther あたりもそこをきちんと考えないと危険です。いろんな観点から何度も言っていますが、道具は使う人しだいだからといって何を作ってもいいわけじゃないんです。
なお、私は Winny 作者の理念には賛同しています。SoftEther に関しては微妙^^;。ここやここに書いたように。
この話題、スルーしようと思っていたのですが、essa さんの文章に共感&興味を惹かれたので記事にしてみました(IT関係だし当然もともと興味は持っている)。あ、でも今記事書いても既に何も新しい視点はないか?^^;
理念とは、良いコンテンツを作成した人が、そのコンテンツを評価する人からその評価に見合った報酬を受け取るべきだということです。良いコンテンツを創造した人がむくわれるシステムがあれば、それにはげむ人が増えて、社会全体として創造されるコンテンツはより豊かなものになる。このことは、技術の進歩と関係なく、常に尊重されるべき立派な理念です。 : 彼が提案する代替案とは、P2Pネットワークによるコンテンツの流通と、デジタル証券システムによる対価の支払いです。彼は前者については、プログラムのレベルまで具体化して提案し、後者について概念モデルを提示しています。どちらも現行の技術で充分実現可能な提案です。
ほとんど essa さんと立ち位置が同じなんですが、幇助(厳密な幇助の定義にあたるかは微妙だけど故意に犯罪を助長した)の罪を問うのは妥当とする立場です。法律上の罪かどうかは私には判断が付きませんが直感的には逮捕に相当する罪ではないかと思っています。
携帯電話のカメラの場合、悪用が容易に想像できるため、シャッター音などの防衛策が盛り込まれましたが、Winny は悪用の可能性どころか、悪用が主体になりそうであることすら容易に想像可能なのに、作者側がそれを抑止する手立てをなんら講じていませんでしたから。そのあたりで「意思」について問われると思います。
ただ、もちろん真意は理解できまして、「毒を放たないと分からない」ってやつですね。47氏は完全に確信犯です。鳥と卵の選択をした(※)。そして、罪を被ることも辞さずに行動を起こしたんです。たとえ逮捕されてもそれによって多くの人がこの問題を考えるきっかけになるなら、くらいの気概だったのではないでしょうか。
※悪いとされることを悪いことでなくすためにまだ悪いことじゃなくなっていないのに悪いことをした。
何らかの実効性のある悪用防止策が入っていれば、罪にはならないと思いますが…そこまで詳しくは知らないです_o_。あるいは、「デジタル証券システムによる対価の支払い」のほうをもっと前面に出すことができていれば、犯罪助長の面は軽視されていたでしょう。しかしそれを認知/普及させるためには…というわけで、鳥と卵です。
罪は罪として何らかの形で償い、そして早く次の研究フェーズに移られることをお祈りします。
上記の気概から行くと、逮捕によって P2P 流通が萎縮したら 47氏の本意じゃないでしょうね。まさしく革命を起こしたかったわけだから。コンテンツキー配布/更新サービスみたいなのが構築されて、コンテンツそのものは P2P 流通とかすればいいような気がするけど。あるいは 47氏の希望は投げ銭システムか…。どうなんでしょうね…投げ銭。ビジネスまで行くかどうか…。
参考:
arai blog: 金子勇氏を支援しよう
muse-A-muse:Winny事件を受けて ヴィント・サーフの銀河系は縮減する...のか? 他のご意見へのリンクも挙げてくださっています。
似て非なるものとして、office さんの事件がありました。私は氏の大義名分はかなり怪しいと思ってます。(追記)うわっリンク間違ってました。こっちです_o_。別に人柄が嫌いとかいうわけではないけれど。本当に慎重に脆弱性調査や報告をしている方にとって、かなり害となる行動でしたから…。でも、office さんも愉快犯的側面の行きすぎはあれど、貴重な人材であるとも思いますが。
おっと、当然ながら、某雑誌なんかは当然のごとく罪を問われてしかるべきと思いますけどね。
そして、例によって、報道の論調はあほなんでしょうけどね。見てないけど。


Comments
>作者側がそれを抑止する手立てをなんら講じていませんでしたから。
具体的にどのような策が講じられると考えられます?
サーバー仲介型P2Pで無い限り私としては想像できないんですが。
Posted by: Lion | 2004.05.12 at 10:48 PM
そうですねぇ。ちょっと考えただけで浮かぶようなことなら当然 47氏が実践していると思いますけど^^;。
# 私はあまり情報を知っているわけではないですが過去のいくつかの発言を見ていて 47氏はかなり誠実な人ではないかと思っています。
実は犯罪をしにくくする手立てなら簡単に思いつきます。匿名性をなくす(合法な P2P ファイル交換の目的を実現するのに必要なものではない)ことを筆頭に、なんらかの制限をかければよい。しかし、作者の理念の一つは「自由」にあった。「責任」は軽視されてましたけど。だからこそ、責任を追及されたときに反抗しなかったのではないでしょうか(この辺正確な情報かは分からないで書いてます_o_)。
そして、最も早く普及させるための手段として、それを最も欲しているであろう人たちに告知した。犯罪を助長する意思がなかったなら 2ch のダウンロード版などで公開はしません。
上記いずれか一方でも抜けていたら、こんな普及の仕方はなかったでしょうね。多分 47氏はこの活動によって、「現行の著作権管理方法はもうだめだ」と世論が向くか、あるいは「著作権料詐取者の攻撃に負けて逮捕されるか」いずれも想定していたはずです。
そして後者になったわけですが、47氏の目論見はこれで終わったどころかまだまだこれからと思います。
Posted by: Shin | 2004.05.12 at 11:11 PM
47氏の理念から大きく抜けている問題があって、理念が実現した場合、流通仲介業/著作権管理業は不要になるかもしれないが、広報はどうするの?というのがまだ実現可能性のある案すら出ていないと思う。
クリエーターを抱える組織は、そこから収益を産み出そうとして様々な広報コストをかけるけれど、もし、クリエーター自身が作品をリリースし、利益がクリエーター自身に入るようになったら、誰が広報するのか。
また、ネット上ではデジタルデータの流通コストが0に等しくても、リアルでの流通が無くなるわけではなく、ネット上だけでの知名度では認知率が低いと思う。鍵はネット上での広報は知らない人に見せるのには不向きであるってこと、広告嫌われるしね。テレビなら強制的に見せられるわけです。ネット上の CM の作り方が悪いという論を持ってます。市場の広さのせいとも思うけれど。
この辺もうちょっと考えをまとめて記事にしてみようかな…。詳しくない分野を思い付きで記事にするのは少々はばかられる部分はあるけれど…。
Posted by: Shin | 2004.05.13 at 04:51 PM
おっと、もとのご質問に答えたことにならないかもという気がしてきたので補足。きちんと通じたかもですけど。
>サーバー仲介型P2Pで無い限り私としては想像できないんですが。
流れるコンテンツの追跡可能性を組み込むのはさして難しくないでしょう、ってことですね。ノード情報を暗号化しない、さらにはフィード元を逐一記録するか、よりトレーサビリティを挙げるなら、どこを流れてきたかをコンテンツのメタ情報として付加するようにすればいい。それじゃ普及しないでしょうけどねん:p。
Posted by: Shin | 2004.05.14 at 03:14 AM
瑣末な突っ込みで申し訳ありませんが、ダウンロード版(ばん)ではなくてダウンロード板(いた)ですよ。
Posted by: c/r | 2004.05.27 at 01:05 PM
あはは。そうですそうです_o_。ご指摘いただいているので放置にしますー^^;。
Posted by: Shin | 2004.05.28 at 12:42 AM